四季奏でるまち金山 森の便り Vol.23

金山住宅

話をお聞きした人

杉に恵まれた土地が育む大工の技

 生まれた場所に素晴らしい杉があり、家をつくることにひたむきに心を込める職人であること。それが「金山大工」の心意気です。百年生きた木をさらに百年以上活かすことで、山も街も人も循環します。
 現在、金山大工と呼ばれる職人は30人を超え、木を見る目、加工、適材適所の使い方など、杉材に恵まれた環境がその伝統と技術を育んできました。自分が建てた家は、釘の位置まで分かると言います。
 棟梁の目から見た金山杉は、素朴で美しく、狂うことがなく、見た目にも柔らかいのが魅力。木の中心部と周辺部では異なる性質を持ち、外壁の杉板張りに使う中心部の心材は雪にも耐える強さがあります。一方で、長所である柔らかさや粘りはカンナ掛けが難しく、刃物の研ぎにも大工の腕前が問われるそうです。
 工場製品のような住宅が増えていますが、百年経ったら手作りの木の家とどちらが良いか、住みやすいか次第に分かってくると棟梁は胸を張ります。金山住宅や、金山住宅が立ち並ぶ金山町の街並みは、今以上に見直されていくことでしょう。

未来に向けての金山住宅

 金山町独特の風景をつくり出している金山住宅は、昭和53年にスタートし、今も続いている住宅建築コンクールの優秀賞に見られるいくつかのエッセンスから成り立っています。
 具体的には、まず屋根。本を開いて被せたような「切妻屋根」で、開いた山型が道路に向いた「妻入り」と呼ばれる形です。屋根からの落雪が出入り口を塞がない雪国ならでは配慮であり、金山住宅の最も大きな要素のひとつです。
 外壁は、白壁か杉板張り。構造体の柱や梁がそのまま見える真壁(付け柱、付け梁の場合もあり)で白壁の割れ止め効果もあります。昔ながらの佇まいを保ちながら、現代のライフスタイルに置き換えた、百年先を見越した住宅とも言うことができます。
 金山杉を使った家づくりを代表するものとして町営住宅への取組があります。5年計画で1年に4棟ずつ、計20棟になりました。金山住宅の仕様に沿い、梁や柱など木組みの表情が見える構造表わしの真壁に加え、床は厚さ30ミリの杉無垢フローリング、天井にも杉板張りが施されています。

山の姿と家の姿を結ぶ金山杉

 現在、金山町森林組合で伐り出す「金山杉」ブランドの材木は、樹齢80年を超すものに限っています。金山町では、明治後期から大正時代にかけ、10年間で一千町歩(おおよそ一千ha)もの植林が行われました。東京ディズニーランドの面積は51のため、その20倍にも及びます。この大規模造林の恩恵を受け取り、その利益を再び山へ還し、また三から四世代先の山づくりを続けています。およそ百年もの長い歳月を過去から未来へ繋いだ証として、全国に名だたる金山杉があるのです。
 金山杉は、太く長く、梁や柱の構造材から床、壁、天井などの造作材まで家全体を金山杉で賄うことができます。
 年輪が細かく緻密で品質が均一なことも巨木杉ならでは特徴です。木の細胞を壊さない低温乾燥にこだわることで、美しい木肌を保ち、木の香りが残るそうです。
 森林組合の取組として、建主を金山町に招き、山へ案内し、実際に使う木を見てもらっています。どの山の、どの木を、誰が伐り出し、誰が建てるのかといった、山・材・人が三位一体となった家づくり。トレーサビリティと循環の実現が、金山杉の大きな安心や未来に向けての価値の創造につながっています。